60歳からの人生(旅)ノート

Appleと猫と米国株が好き

宮部みゆき 理由

火車」以来すっかり、宮部みゆきファンになってしまった私が選んだ第2段がコレ 「理由」(結構オーソドックスでっしゃろ?) 直木賞受賞してるから外れはないかナと思う単純な奴でして。{%トホホwebry%} 火車のように一気読みは出来なかったけれど、「理由」も読みながら心に迫る台詞があって。 宮部さんの小説って台詞がいいんですよねえ。殊に主役じゃない端役の人がいう台詞にご自分が言いたい事を言わせてるのかなあ?と勝手に思ったりしました。 砂川里子の長台詞。自分の備忘録の為に書いておきます。 (長文ですから興味のない方はスルーしてくださいね)。 「あたしねえ、あの目のくらむような高いマンションの窓をね、下からこう、見上げて、思ったですよ。この中に住んでる人たちって、そりゃあお金持ちで、洒落てて、教養もあって、昔の日本人の感覚からしたら考えられないような生活をしてるんだろうなって。だけど、それはもしかしたらまやかしかもしれない。もちろん、現実にそういう映画のような人生を送る日本人もいるんだろうし、それはそれでだんだん本当の本物になってゆくんでしょう。だけど、日本ていう国全体がそこまでたどり着くまでのあいだには、まだまだ長い間、薄皮一枚はいだ下に昔の生活感が残ってるっていうような、危なっかしいお芝居を続けていくんじゃないですかね。核家族なんて言ってるけど、あたしのまわりの狭い世間のなかには、本当の核家族なんか一軒もありゃしません。みんな歳とってきた親を引き取って同居したり、親の面倒をみに通ったり子供が結婚して孫ができりゃ、今度は自分たちが自分たちの親のように早晩邪魔者扱いされるようになることに怯えたりしてるんです。そりゃもう、いじましい話が山ほどありますよ。  あの、ウエストタワーを見上げてるとき、なんですかね、あたし急にムラムラ腹がたってきてね。なんか、あの内側に住み着く現実の卑しい人間のこととか何も考えないで、すうっと格好よく立ってるでしょう。あんなところに住んだら、人間ダメになる。建物の格好よさに調子を合わせようとして、人間がおかしくなっちゃうって、そう思いました。」 (新潮文庫P508より 引用)

理由 (新潮文庫)
新潮社
宮部 みゆき

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人情話をからめたドキ ...
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